【新潟・アスリートブック】 夢はエコスタで完投勝ち~日本文理高校野球部・飯塚悟史投手

【新潟・アスリートブック】 夢はエコスタで完投勝ち~日本文理高校野球部・飯塚悟史投手


2014年、新潟県のアスリートの中で、最も注目された1人が日本文理高校野球部の飯塚悟史投手だ。夏の甲子園で日本文理のベスト4進出の原動力となり、秋のドラフト会議では横浜DeNAベイスターズに7位で指名された。注目を浴びた今年の感想と、プロ1年目となる来年の抱負を語ってもらった。

飯塚インタメーン1 リサイズ

――横浜DeNAベイスターズの新入団発表も11月に終わり、12月になってようやく落ち着いたのではないですか。
「そうですね。自動車学校に通っていたりもしたので、やっと体を動かせるようになりました。今はトレーニングの時間を多く作るようにしています」
――とはいえ、雪でグラウンドは使えないと思いますが。
「何とか動くようにしています(笑)。横浜の河原隆一スカウトからは『今は無理に肉体改造をしようとせず、今までのペースで』と言われました。球団からメニューはもらいました。基本的に走る内容で、これまでやってきたこととあまり変わりませんでした。ただ、雪が積もってしまったので、なかなか思ったように走れなくて。河原さんも心配していたようで、『練習場所は確保できているか?』と電話がきました(笑)」
――ピッチング練習などはしていませんよね。
「全くしていません(笑)。夏の甲子園が終わり、(侍ジャパンU-18のメンバーに選ばれて出場した)9月のU-18アジア野球選手権を最後に、本格的には投げていませんね。10月の国体も登板は1試合だけでしたし。最近、キャッチボールは始めましたけど。ただ、夏にかなり投げたので、しっかり肩を休められたと思います。これから少しずつ投げられるようにしていきたいです」
――年明けの1月7日に入寮し、9日から新人の合同自主トレが始まります。
「自主トレは、マイペースでやるつもりです。いい状態で2月のキャンプに入りたいです」
――入寮のときは何を持っていくつもりですか。
「特に考えていません。必要最小限のものだけを持って行って、必要なときに向こうでそろえます」
――お守りを持っていくとか。
「そういうのは考えていませんよ(笑)」
――11月の横浜DeNAの新人選手入団発表では、中畑清監督とどんな話をしましたか。
「監督には『大きいけどまだ細いな、もっと体の厚みを付けるように』と言われました。記者会見のときには、先発完投型を目指して欲しい、と。自分もそのつもりでしたので、期待に応えなければならないです」
――背番号は「30」です。いい番号ですね。
「いいですね、本当に(笑)。新入団発表のときに実際にユニホーム着て、いい気分でした。同時に責任も感じました」
――他に新入団の選手は6人います。どんな雰囲気でしたか。
「大学生や社会人の方たちが、すごく親切にしてくれました。高卒ルーキーは僕のほかには百瀬(大騎=松本第一高校、内野手)だけ。すぐに仲良くなりましたよ。2人で支え合っていかないと(笑)」
――新入団発表のときに、正式にプロ選手として契約したわけですが、気持ちの面で変化は。
「今まで以上に、周囲から見られると思います。プロ野球選手らしい行動を取らなければなりません。ポケットに手を入れて歩いたりとか、そういったことはしないように心がけます。これからは野球が仕事になりますから、野球に飽きないように、楽しんでやるかが大切だと思っています」
――昨年の夏の甲子園では、1人で5試合を投げ抜き準決勝進出に貢献しました。今、振り返るとどう感じますか。
「今になると、よく投げたなと(笑)。でも、あのときは無我夢中で、自分の体のことは何も考えていませんでした。とにかくチームが勝てば、チームのために投げなければと思っていました。その気持ちで、最後まで折れずに投げ切れました」
――甲子園とは、どんな場所でしたか。
「あの場に立った選手しか味わえないものがあると思います。自分が持っていない力まで引き出してくれるような場でした。もっともっと上でやりたい、上には上がいるんだ、ということを球場全体から教えてもらった気がします」
――甲子園から、今度はプロ野球が戦う場です。
「毎年好成績を残して、息の長い選手になりたいです。そして新潟で投げたい。エコスタのマウンドに立って、完投勝ちしたいです。本当にやりたいですね」

☆いいづか・さとし●1996年10月11日生まれ。上越市出身。6歳のときに直江津ガンバーズで野球を始める。直江津中3年では新潟県選抜のメンバーとして、Kボール全国大会準優勝。日本文理では1年夏からベンチ入り。2年夏に甲子園出場。昨秋の明治神宮大会で準優勝。今春のセンバツは初戦敗退。今夏の甲子園、10月の長崎国体でベスト4進出。186センチ、83キロ。右投げ左打ち。

(聞き手・構成 斎藤慎一郎)