新潟県民なら知っておきたい、トキの生態を学べる「トキと自然の学習館」(長岡市)

新潟県民なら知っておきたい、トキの生態を学べる「トキと自然の学習館」(長岡市)


国の特別天然記念物であるトキ。新潟県民にはおなじみの鳥ですが、意外とその生態は知らない人も多いと思います。近年では、毎年放鳥が行われ、ニュースとなることも多いトキ。トキの保護・繁殖については、佐渡市の「佐渡トキ保護センター」が有名ですが、長岡市にもトキの飼育・繁殖を行っている施設があります。

それが長岡市寺泊夏戸にある、「トキ分散飼育センター」です。

「トキ分散飼育センター」は、平成23年4月に開設され、同年の10月から分散飼育をおこなっています。ご存じの通り、現在、トキは絶滅の危機にひんしており、保護・飼育・繁殖・放鳥の取り組みが行われています。平成26年12月19日現在、国内のトキ総数は約340羽。こちらでも、「佐渡トキ保護センター」と連絡を取りながら、トキの分散飼育をしています。

同センターは、一般公開をしていないため、隣に「トキと自然の学習館」を平成24年3月20日に開設しました。こちらは、トキの生態や現状の紹介を通して、地域の自然や環境について関心を持ってもらうことが目的です。なんと入館も無料。こんな身近にトキ関連の施設があったのは、私も知りませんでした。

それでは施設を写真でご紹介します。

こちらが「トキと自然の学習館」です。トキは音にも敏感なので、駐車場は少し離れた場所にあり、そこから歩くことになります。現在、鳥インフルエンザ警戒のため、入口にて靴を消毒します。

こちらが「トキと自然の学習館」です。トキは音にも敏感なので、駐車場は少し離れた場所にあり、そこから歩くことになります。現在、鳥インフルエンザ警戒のため、入口にて靴を消毒します。尚、建物は以前、小学校だった建物を再利用しているそうです。

これが館内です。トキの資料がいっぱいです。

これが館内です。トキの資料がいっぱいです。

館内では、大型モニターで「トキ分散飼育センター」のケージの様子を見たり、これまでの観察記録を見ることができます。(※トキを直接見ることはできません。)

施設を案内していただいた、解説員の関川さんです。

施設を案内していただいた、解説員の関川さんです。

「トキとの共生に向けて」コーナーです。正面に見えるのがモニターで、記録映像やケージのライブ映像が見れます。

「トキとの共生に向けて」コーナーです。正面に見えるのがモニターで、記録映像やケージのライブ映像が見れます。

見どころの一つは、こちらで羽化したトキの記録です。かわいいですね~。

見どころの一つは、こちらで孵化(ふか)したトキの記録です。かわいいですね~。

ひなの餌やりの様子。ひなを保護するため、親鳥からひなを離し、飼育員の方が24時間体制で管理しています。

ひなの餌やりの様子。ひなを保護するため、親鳥からひなを離し(人口飼育)、飼育員の方が慎重に管理しています。このほかにも、いろいろな映像を見ることができます。

トキの卵(レプリカ)です。そんなに大きくありません。ニワトリの卵より、ちょっと大きい程度でしょうか。

トキの卵(レプリカ)です。そんなに大きくありません。ニワトリの卵より、ちょっと大きい程度でしょうか。

館内にあるトキの資料も充実しています。トキの標本も複数あり、その違いを見ることもできます。

トキのはく製です。右が7歳で、左が1歳です。羽やくちばし根元の色は異なりますが、大きさはほとんど変わりません。

「トキの標本ギャラリー」にあるはく製です。右が7歳で、左が1歳です。羽やくちばし根元の色は異なりますが、大きさはほとんど変わりません。

来館される方がはく製を見て、「思ったより小さい」と話すことが多いそう。私も同じ印象でした。羽を広げると約1.5メートル程になることから、テレビや写真の印象で大きな鳥だと思っていましたが、瓢湖などで見かけるハクチョウよりも小さい感じです。

これがトキの骨格標本です。胸の部分の骨(竜骨突起)が大きいのは、飛ぶ力が優れている鳥の特徴だそうです。

これがトキの骨格標本です。胸の部分の骨(竜骨突起)が大きいのは、飛ぶ力が優れている鳥の特徴だそうです。

トキはくちばしの先にある神経が大変発達しており、土の中を敏感に感じることができるそうです。それでエサが探せるんですね。

トキを紹介するアニメなどもあります。子どもたちが喜びそうですね。

子どもたちが喜びそうな、トキを紹介するアニメなどもあります。トキはもともと、広い田んぼでエサをとりながら、人間と共存していたそう。土の中のドジョウやタニシなどを取ることから、稲作の一助になっていた面もあるそうです。

サギの骨格標本です。トキと比較すると、歩くことにも優れており、より広い環境でエサを探すことができるそうです。

サギの骨格標本です。トキと比較すると、歩くことにも優れており、より広い環境でエサを探すことができるそうです。

トキは、サギなどの鳥と比較して、エサを取る場所などが限られるため、環境の変化に影響を受けやすいとか。また、明治時代以降、羽などが珍重されたことで乱獲の対象となり、佐渡などの限られたエリアにしかいなくなってしまったそうです。

田んぼや森など、ピンク色の羽を広げて飛ぶトキの姿は、テレビ映像などでしか見ることはできませんが、今後、このような保護や繁殖、放鳥の取り組みが続いて、いつかトキを普通に見かける環境が来ることを願わずにはいられません。

訪れてみて、トキについてもっと興味が湧き、環境についても考えさせられました。新潟県、そして日本のシンボル的な鳥・トキの生態と、地域の自然を学びに、ぜひ行ってみてください。(GATAポスト編集部 上杉)

 

トキと自然の学習館

住所:長岡市寺泊夏戸2829番地
電話:0258-75-3201(電話・FAX共通)
開館時間:9時~17時
休館日:月曜日(祝日と重なる場合は、火曜日)、年末年始(12月29日から1月3日)
入館無料