【キッズ】大掃除ではぜひ、僧帽筋のエクササイズを 県立大学の伊藤教授に聞きました

【キッズ】大掃除ではぜひ、僧帽筋のエクササイズを 県立大学の伊藤教授に聞きました


さあ、年末の大掃除です。ぜひ、知っておきたい話をひとつ。

子どもたちの間でいま、転んだ際の顔のケガが増えているのだとか。どういうことでしょう? 目・口・鼻など、大切なパーツが集中している場所です。気になりますね。

新潟県立大学人間生活学部子ども学科の伊藤巨志教授にお話をうかがいました。

人間は、四足歩行だった頃を忘れている?

「転んだとき、顔面で着地してしまうということが増えているんです。バランスを崩した際に手が出ないんですね」。

にわかには理解しがたく感じます。なぜでしょうか?

「考えられるのは、赤ちゃんの居住環境の変化。ベビーベッドなどのつかまる場所があるため、立ち上がりの時期が早くなっているのでしょう。ハイハイで手をついて移動する動作の不足感が強まっているのだと思います。四足歩行だった頃を忘れてしまうんですね」。

四つんばいの姿勢は、実は重要と。

「子どもたちの二の腕(後ろ側)と背中、お腹で、皮下脂肪が多いのはどこだと思いますか?腕です。 皮下脂肪も幼児期になると活動が増えて減るのですが,なかなか減らなくなってきています。特に、腕は使う機会が少なくなっているので減らないんです 」。

腕を使わないので、転んだときに手が出にくいということですね。

「背景には、遊ぶ環境の変化もあげられるでしょう。まず、子どもたちに時間がない。友達と遊ぶにも塾があるので電話でアポを取る、相手の親と相談する。安全面などからも手順が必要で、遊ぶことが「自由」ではなくなっている。親のコーディネイトが必要になっている。結果、体験不足、運動不足になり、危険回避能力が低下して行く」。

生活環境が豊かで便利になる一方で、「何か」を失っているということですね。

四つんばいエクササイズで、ケガ防止を

ところで、それは子どもだけの現象でしょうか?

「実は大人も。周囲の人にハイハイをしてもらってみてください。多くの人は顔を下げて進みます。なぜなら、その方が楽だから。二足歩行の生活では顔を上げるための僧帽筋(首・肩の筋肉)を使うことが少ないため、前を向くのがキツくなっているんです。

ですから、昔は学校や家でも行っていた雑巾がけをぜひやっていただきたいと思います。手をついて足を運ぶという動作は、確実に運動発達が促せます。掃除ではなくエクササイズ、運動遊びという感覚で、やってみてはどうでしょう」。

なるほど。年末の大掃除は、家をキレイにしながらケガ防止のエクササイズ。一石二鳥ですね。

「普段の掃除の手伝いでもぜひ。また、遊びの中でも腕を使うものを取り入れてください。公園ならぶら下がりや移動を伴ううんていを、また、ボルダリングなどもオススメです」。

伊藤先生、ありがとうございました。

(GATAポスト編集・早見)