わさび園なのに海岸沿い? GWイベント情報付き 始動した柏崎ふるさと応縁基金を追う第1弾
昨年から掲載してきた「柏崎ふるさと応縁基金」がいよいよスタートしました。女性チームが開発を担当した、ふるさと納税のプロジェクトです。
ふるさと納税は新年度から全国でも制度が改良され、手続きが簡略化されるなど、利用しやすくなっています。
しかし、GATAポストとして気になるのは… 「ふるさと納税」は実際に地域へどんな影響をもたらしているか! とはいえ、始まったばかりなので目に見える変化はまだないと思われます。
そこで。
ボタニカルネタとしてもちょっとどころか、かなり気になっていた海の近くの「石地わさび園」を訪ねました。
石地わさびはお礼品の中に詰め合わせとして、今年度からラインナップされました。
「ソフトクリームはおすすめです。本わさび入りで甘過ぎないので、スイーツをあまり食べない人でも最後まで食べられますよ」と話すのは、柏崎市農政課農村地域振興班で開発チームの一員、大塚昭子さん。取材に同席してもらいました。ありがとうございます。
まずは、海岸沿いでわさび栽培という不思議について、土佐邦夫社長にうかがいました。
社長がここ、石地でわさび園を始めたのは2年前。
「わさびの野地ものは、柏崎でも山の方なんかで昔からよく見ていたので、頭の中にはあった。農園をやろうと思って、どうせやるなら変わったものをと考えたとき、わさびにたどり着いたんですね」。
建設業の会社も営む土佐社長は、さまざまな現場で自生のわさびを目にしていたのだとか。
海岸沿いでやるメリットは?
「ハウスで栽培するなら、積雪が少ない場所がいいという発想だったんです」。
ハウスの後ろに、ロケットみたいな物体が。
「拡散塔です。地下水をこれでくみ上げて、わさびに水を流してるんです」
自然のわさびは、根からアリルイソチオシアネートという高い殺菌能力を持つ物質を出しており、これで土に棲む菌類を殺してしまい、他の植物が育たないようにしているのだとか。生存競争に打ち勝つための、恐るべき作戦と実行力!
(こちらの菌ちゃん記事も読むと知的好奇心が倍増です)
でもその作戦には大きなほころびが。その物質のせいでわさび自身も自家中毒に陥り、大きく成長できないのです。やや間抜けですがおもしろいボタニカルネタです。
だからこそ、このように水が大事。
豊富な水量で絶えず、問題のアリルイソチオシアネートを流すことで、わさび自身も育ちやすい環境を作り出しているのです。
すると結果は、このように。
なるほど。
わさわさと大きなのが育ってます。すごーい。うまそー。
ここでひとつ、悩みが。
「わさびの栽培は珍しいので研究者も少ないんです。しかもわさびは、収穫まで2年がかり」
ノウハウが積み上げにくく、手探りの部分が多いのだとか。
研究に協力できる方は、土佐社長までご一報を。
石地わさび園のホームページはこちら。
さて、スタートしたふるさと応縁基金についても聞きました。
「柏崎に名物になるように、ふるさと応縁基金で根付いていくといいですね。海岸沿いのわさびという意外性だけでなく、きちんとおいしいものを届けられるように頑張っていきます」
大塚さんからもひと言。
「柏崎にはわさびもあるし、おいしいお米もあります。柏崎の農産物に気付いてもらう、きっかけになってもらえればと思います」。
わさび入りのソフトも食べさせてもらいました。
あっさりさっぱり、意外と辛みも少ないので子どももおいしく食べられそうです。
明日、29日(水・祝)には2周年記念のイベントが開催されるようです。
わさび丼や手打ちそばの販売のほか、ニジマス釣りもできます。
さて、後日談として。
社長に教わったわさび丼を自宅で作ってみました。
ほかほかご飯に鰹節をたっぷりふりかけ、わさびを乗せて醤油をちょろり。
日本人ならこの味、十分想像できると思います。そして、食べてみたくなるはずです。おろしたてのツーンと香る生わさびで。
つづきます。
(GATAポスト編集・早見正明)