類人猿も浸かったかも?魅惑の松之山温泉【新潟は温泉天国】
十日町市の松之山温泉に行きました。
十日町市といえば十日町雪まつり。雪と親しむための祭り、つまり現代雪祭りを、日本で最初に行ったのがこの祭りです。
そんな土地なので、この雪深さです。これでも少ない方。
十数年振りに訪れた松之山の温泉街。
以前の訪問時は、ここの温泉がこれほど個性的とは知りませんでした。
こぢんまりとした温泉街の坂を登ると、二号井の源泉が湯気を上げています。
(写真ではバックが白で分かりづらいですが・・・)
なんと、温度は90度以上。
熱湯です。
90度もの温泉が自噴している例は、そうホイホイあるわけではありません。貴重なのです。
やぐらの向かいに「地炉」という古民家を移築した建物があり、そこでは冬以外はパン作りや「湯治豚」というちょっと変わった肉料理作り体験ができるのです。面白そう。
でも今は冬なので、建物の前の足湯へ。
おや、湯の注ぎ口に・・・
白い塊がついています。
これは塩? なめてみます。
味はしませんでした。
「カルシウムではないか」とは、付近の宿の人。
しかし、松之山温泉は強い塩分を含有するため、このように塩がつくことがあるのだとか。なぜ塩分が強いかというと、この湯は化石海水に由来するからです。
遙か昔、地底の隆起運動によって閉じ込められた海水が温泉となって湧出しているのです。高圧がかかって一気に噴出している「ジオプレッシャー型」との呼び名もあるようです。
海水だからしょっぱいのです。また、「遙か昔」とは約800~1200万年前と推察されています。その頃はまだ、「類人猿」の時代。
人類がまだ誕生する前に閉じ込められた海水ですよ。これはぜひ浸かってみたい。
日帰り入浴施設の鷹ノ湯に行きます。
大人500円、タオルなし。脱衣所のロッカーは無料です。
ところどころ壊れているのはご愛敬。
地元の人たちは平気な顔して入る温泉は、かなり高め。水でうめるためのホースがありましたが、皆さん見向きもしません。郷に入っては、です。熱いので、入っては上がるを繰り返していたら、施設の人が温度を計りに来ました。
「何度ですか?」と、私。
「何度だと思う?」
「えーと、45度」
「そんなにないよ(笑)、43.5度」
パワフルな湯です。わずかな油の匂いがワイルド。なめると、かなりしょっぱい。
地球で最初の生命は海の中で誕生した、という話を、ややのぼせた頭で思い出しました。
海がなければ人類の繁栄はなかったかも。
温泉がなければ、世の中もっと殺伐としていたかも。
温泉は大地の恵みです。
さてこの日、国の登録有形文化財でもある松之山の旅館「凌雲閣」を見学させてもらいました。
昭和13年に建てられた木造三階建ての建物です。群馬県渋川の宮大工たちが集い、1人1部屋を担当してこしらえたという客室を見せてもらいました。将棋盤を天井に張り付けたアバンギャルドな細工もあったりして、建設時の楽しそうな様子が目に浮かびました。
そのリポートは、またいずれ別の機会に。
(GATAポスト編集・早見)