くちばしのデザインに見る食べ物との関係 さえずりの里でお勉強

くちばしのデザインに見る食べ物との関係 さえずりの里でお勉強


新潟県愛鳥センター 紫雲寺さえずりの里に行きました。

隣の紫雲寺記念公園には来たことがありますが、さえずりの里は初めてです。鳥に興味を持ったなら、訪れずにはいられない場所です。

いろいろと鳥の話、バードトークはあるのですが、本項ではくちばしについてちょっとだけ。

鳥を観察しはじめると、くちばしの形、デザインが気になります。食べることは生きること。何をどのように食べるかによって、フォルムが違います。

例えばトキ。

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つるはしのように緩やかにカーブしていますが、これは田んぼなどの泥にくちばしを差し入れる目的で、このようなデザインに。

さらに骨格標本をよく見ると、くちばしに細かい穴がたくさんあるのが分かります。

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神経が通っていた穴です。

人間の手と一緒です。神経があるので、視覚的に認知できない泥中のドジョウやカエルなどでもくちばしに触ると分かるのです。スゴイ。

トキは食物連鎖の中では上位に位置する生き物です。と言うと強い生き物のように感じますが、ご存知のように純国産のトキは絶滅しました。食物連鎖の下位が豊か(つまり自然が豊か)でないと持続できない、実は上位の生き物は弱い存在なのです。では、なぜトキが絶えていったのかということを、私たちは考えねばならないわけですよね。

くちばしの話に戻ります。シメという鳥の場合はこんな感じ。

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くちばしはツルンとしてます。固い種子を食べるため、太く短く頑丈にできています。

飼育舎も見ました。

さえずりの里は「愛鳥センター」です。けがを負ったり病気にかかった野生鳥獣の救護活動を行う施設でもあり、飼育舎では県内で保護された鳥たちが療養しています。

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クマタカです。猛禽類、肉食なのでついばみやすいくちばしの形をしています。

大空を舞う雄姿をぜひ見てみたいところですが、このクマタカは療養期間が長く、野生復帰は難しいと目されているとか。勇ましいルックスですが、自然の中で生活できないなんて、とても残念ですね。

くちばしについて考えるうちに、自然と生き物についても考える1日になりました。

案内していただいた小川龍司さんです。ありがとうございました。

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(GATAポスト編集・早見正明)

新潟県愛鳥センター 紫雲寺さえずりの里

新発田市藤塚浜海老池

電話/0254-41-4500