【インタビュー②】地域をデザインするブランキングアート展 「受け継いだものを伝えるミッションがあります」
GATAポストが注目する「第一回 燕三条ブランキングアート展 2014」。諏訪田製作所の小林知行社長インタビューの続きです。(前の記事はこちら)
「果てが見えない、アートは終わりが見えないものだと思います」
――ところで、これらのスクラップはリサイクル可能なのでしょうか?
「日本の場合の鉄の生産は、50パーセントが鉄鉱石や砂鉄などのバージン材、もう50パーセントがスクラップ材で行っています。ほぼ100パーセント、スクラップはリサイクルしているんです。だからこうした排材も、産業全体で見たら資源です」
仮に鉄クズを放置しても錆びて自然に返るため、環境負荷はほぼなし。3500年もの間、こうした大きな循環の中で鉄製品のモノ作りを続けてきたのだとか。
そういえば、会社の入り口に一体、アート展のものとは別の「ウォリアーズ」が、錆びた状態で立っています。
「これは12体まで作ります。名前があるんです。最初がペトロ、次がアンデレ」
キリストの12人の弟子、使徒になぞらえています。
「いま、わざと錆びさせているんです。使徒は、キリストの教えを広める、役割としては精霊です。あの精霊たちには、受け継いだものを次に伝えるミッションがあるんです」
何を感じるかは、訪れた人次第です。
――今回、初めて他の企業とアート展をやってみて、気付いた点はありますか?
「色んな素材があるんだ、可能性は無限にあるんだなと思いました。果てが見えない。アートは終わりが見えないものなのだと思います」
ぜひ、第2回、3回と続けて行って欲しいと思います。ありがとうございました。
さて、燕三条Wingにも足を運びました。工場を訪ね、小林社長のお話をうかがった後で見る「ウォリアーズ」は、ちょっと違った見え方がします。
興味を抱かれた方は、諏訪田製作所も訪ねることをオススメします。工場見学の他に、ショップとカフェも楽しめますよ。
また、人気雑貨店のMercerie Plus BonBonなども出店しているので、ぜひお店にも足を伸ばしてみてください。
さて、ほかにもさまざまな作品を展示中のブランキングアート展。商品を形作った後の排出材だと分かると、おのずと本来の商品の方の姿を想いながら観ることになります。
ブランキングで生じる“犠牲”の向うに、商品の誕生の物語が見えてくるようです。同時に、職人さんたちの“仕事”に対する自信もひしひしと。心が揺さぶられます。さすが、世界に誇るモノ作りの町です。
最後に、2個目のスタンプをペッタン。燕三条Wingでオリジナルプレートをいただきました。ありがとうございました。
(早見正明)
第一回 燕三条ブランキングアート展 2014
期間/9月20日(土)~10月30日(木)
会場/燕三条地場産業振興センター リサーチコア3F「デザインギャラリー」 JR燕三条駅2F「燕三条Wing」