【新潟・アスリートブック】 心を込めてサーキットに~アルビレックス・レーシング・チーム 早坂祐希

【新潟・アスリートブック】 心を込めてサーキットに~アルビレックス・レーシング・チーム 早坂祐希


F1日本グランプリ(10月3~5日・鈴鹿サーキット)のサポートレース「スーパーFJドリームカップレース」にアルビレックス・レーシング・チームの早坂祐希が出場する。サポートレース出場は昨年に続いて2回目。昨年は19位のフイニッシュだった。今年は10位以内を狙っている。アルビレックス・レーシング・チームからは早坂の他に長谷川綾哉、岡崎善衛、北川博崇が初出場する。

 

 

GATAポスト用早坂祐希メーン リサイズ

「鈴鹿は楽しめるコースです」。早坂は昨年に続く大舞台を心待ちにしている。スーパーFJドリームカップレースは、スーパーFJクラスのオールスター戦。F1グランプリと同じ日程で開催される。昨年は、ニュータイヤになじめず中途半端な状態で走り、19位。今年は準備を整えた。「メカニックのスタッフを中心にして、いろいろな試みをしてきました。様々な状況に対応できるようになったと思います」。自信を秘めて、本番に臨む。

今シーズンはスーパーFJ東北シリーズで、シリーズランキング2位。優勝も1度経験した。だが、「シリーズタイトルを獲得できずに悔しい思いをしました」。シリーズ王者に輝いた篠原拓朗もスーパーFJドリームカップレースに出場する。9月27日に行われたシリーズ最終戦、予選1位でポールポジションを獲得したが、決勝では篠原に敗れて2位。「彼には勝ちたいです」と鈴鹿がリベンジの場にもなる。

2011年からレースに本格参戦。着実に力をつけてきた。一番の成長は精神面。昨年までは、レース中にミスをすると、尾を引くことが多かった。自分を責め、冷静さを失ったままハンドルを握っていた。今年は「意識して気持ちを切り替えるようにしています」。それが結果に表れてきた。シーズン中はアルバイトで生計を立てながらレースに臨んでいる。トレーニングはできないため、日常生活の自動車運転をイメージトレーニングの場に。コーナーでのブレーキの操作などを頭に描く。「そういう部分を常に考えていると、レース本番でも出てくるんです」。もともと潜在的な集中力、そして努力のレベルは高いものがある。

レースの成績以上に、人との出会いが「今年の一番の収穫」と言う。織戸学、谷口信輝といった全日本GT選手権で活躍したベテランレーサーと知り合う機会を得た。技術的なアドバイスも参考になったが、何より彼らの人間性に引かれた。「いつ、どこにいても、僕が訪ねると気さくに相手をしてくれたんです」。サーキットの独特な緊張感の中、ピリピリした雰囲気に陥りがちだが、そこでも平常心を失わないメンタルの強さを学んだ。

もともと、人との関わりを大切にしてきた。レースに向かう第一のモチベーションは「スタッフみんなで喜びを分かち合うこと」。仙台市出身。小学生の頃からレーサーを夢見てきた。車のエンジンの仕組みを学ぶために進学した仙台工業高校では、野球部に所属して甲子園を目指した。当時のチームメートは今、レースの応援に足を運んでくれている。仲間の声援は最高の励み。「何事にも感謝を忘れずに」。恩師の岩渕正典監督の言葉は、座右の銘でもある。

高校卒業後、新潟国際自動車大学校に入学。本格的にレーサーを目指し始めた。授業でカートに乗れる絶好の環境の中で、夢をたぐり寄せる日々。夏休みにはレーサー志望、メカニック志望の同級生と自主トレに励むほど打ち込んだ。同じ目標を持つ仲間の大切さを知った。

デビューした2011年、3月に発生した東日本大震災が頭から離れなかった。当時アルビレックス・レーシング・チームに所属していた同郷のレーサー、大類康幸とともに「東北の人たちに元気を与えたい」という思いで参戦した。3年以上経過したが、復興は道半ば。「東北では、夢をあきらめてしまう子どもたちが多いみたいなんです」。社会環境の未整備が、子どもたちの心に影を落としている現実がある。

今年の東北シリーズを、中学時代の恩師が観戦に来ていた。「先生が、学校で生徒たちに僕のことを話してくれたらしいんです。そうしたら、『レーサーなりたいと思っている』と言った生徒がいたらしくて。子どもたちがあきらめないで頑張れるよう、少しでも力になりたい」。多くの人たちと関わることで刺激を受け、成長してきた。その土台にある「感謝」を持ち続けることで、誰かの力になり得る可能性を感じた。それをサーキットで表現する。
(斎)

☆アルビレックス・レーシング・チームの情報はこちらから。
http://albirex-racing-team.jp/index.html