アルビの電撃移籍2 ストライカーの葛藤~川又堅碁

アルビの電撃移籍2 ストライカーの葛藤~川又堅碁


川又堅碁メーン リサイズ

 

川又堅碁は名古屋へ移籍した。昨季23得点を挙げ、一躍スターダムにのし上がり、日本代表入りの期待もかかっていた。だが、今季、第14節までで3得点。リーグ戦が再開した第15節からはベンチ登録から外れていた。巻き返しを図ってリーグ戦個後半に臨む決意を見せていたが、出場機会をつかめないまま、新潟を去ることになった。

――移籍を決断したのは、どんな理由からですか。
「いろいろなことを考えて、自分の中で難しい判断だったのですが、今回の名古屋への移籍を昨日(8月11日)決めました。決断の理由は、名古屋さんが必要としてくれているという思いが伝わったし、僕自身もすごく試合に出たい、出てゴールを決めたいという気持ちが強かった。それが今回の決断の理由になります」

――新潟に残るという選択肢はありませんでしたか。
「ありました。最初からそういう気持ちでした。なんと言ったらいいか分からないですけど、これからの半年も新潟でやるつもりでした」

――2008年に入団し、いろいろなことがあったと思います。アルビレックス新潟とは川又選手にとって、どんな存在ですか。
「田舎の無名の高校生にオファーを出してくれて。最初は全然活躍できず、チームにとってプラスになるなんて何も思えないほどダメでした。ブラジルに行かせてもらったり、岡山に行かせてもらったりと、いろいろな経験をさせてもらって。それを常にポジティブに受け止めていました。それが去年の良い結果になったと思います。どの面においても感謝の気持ちでいっぱいです」

――これだけは伝えておきたい、ということはありますか。
「(試合に出ることを)ずっと待ってくれているファンがいたし、試合のときも、ああいう(第18節C大阪戦の選手入場時に、川又選手の背番号20が入ったビッグフラッグが掲揚された)ことで、気持ちは伝わったので。自分はここでやりたいと思っていたし…思っていた、という言葉は好きじゃないんですけど…。本当に感謝しているとしか言えないです」

――今季の新潟での自分のプレーについては、どう捉えていますか。
「FWなのに点を取れていなかったので(リーグ戦3得点)、そこは全然ダメだと思っています。胸を張れるような成績ではないです。もっと点を取れたと思っています。後半戦は確実に10点は取りたいと思ってキャンプから臨んでいました」

――あらためてサポーターの方達にメッセージを。
「こういう退団の仕方はしたくないなと思いましたけど、今回こういうことに決めたので。決断をしたということに関して…なんと言っていいか分からないですけど…。試合に出ていないときから応援してもらって、新潟にきた当初から応援してくださっている人のことは、自分も覚えています。いろいろな人に支えられて、新潟には楽しい思い出しかないです。そういう人たちの応援があるから、自分はプロとして試合に出て、お金を払って試合を見に来てくれる人に何をしなければならないかを考えるようになりました。自分はヘタだから、相手より強い気持ちをピッチで表現することしかできなかったけど。あの応援がなかったら、点も取れていなかったと思います。関わってくれた新潟の全ての人たちには、言葉だけでは伝えられない気持ちがあります」

――移籍報道が出て、その後、サポーターを心配させてしまったと思います。その点についてはどう受け止めていましたか。ビッグフラッグの掲揚や、練習試合での激励などもありました。
「…すごく気持ちは伝わったというか、残りたいという気持ちもありました。そのことは、どうかな…。自分の口では伝えられないです」

――今後の目標は。
「自分はストライカーなので。ギラついていたときのように、ゴールしか欲しくないという気持ちをピッチで出せるように、もっとゴールを狙う感覚を研ぎ澄ますことができるように。どのチームに行ったとしても、FWは点を取らなければならないので。点を取ることだけを考えてやりたいです」

――率直に、どういう気持ちで名古屋に行くのですか。
「…難しいですね…。どういう気持ちか…どうなんでしょう…」

――新潟でサッカーをやってきて良かったと思うことは。
「18歳で入団して、毎日のように上にいる選手を追い越そうと、同期生で高め合いながらやってきました。毎日、お風呂で話して。そういうのを積み重ねてきたし、チームを移籍してもそういう関係を続けてきました。だから今があると思います。ポジティブに上を目指してきました。そういう環境を作ってくれたのが新潟だと思っています」

(斎)