生活工芸と工場を手がかりに、これからの暮らしと社会を考える ツバメコーヒーでトークイベント

生活工芸と工場を手がかりに、これからの暮らしと社会を考える ツバメコーヒーでトークイベント


昨秋、燕三条を巡る旅として開催された「燕三条 工場の祭典」。

そのスピンオフとも言えそうな、トークイベントのお知らせがGATAポストに届きました。

「工場の祭典」の開催と同時期に、『「生活工芸」の時代』(三谷龍二+新潮社編、新潮社)という本が、「瀬戸内生活工芸祭2014」のオフィシャルブックとして刊行されました。

これらふたつで見つめた地域と生活へのまなざしを、より広く共有し、深めようとするトークイベントです。

「生活工芸」の時代|トーク【燕三条編】
生活工芸と「工場の祭典」
山本忠臣 × 山田遊 × 鞍田崇

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写真/植松永次作品(『「生活工芸」の時代』より)

開催日は2月28日、場所はツバメコーヒーです。

 

トーク出演者 【プロフィール】

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山本忠臣(やまもと ただおみ)さん

ギャラリスト、建築家。『「生活工芸」の時代』の執筆者の一人。2000年にgallery yamahon / cafe nokaをオープン、2010年に京都に「うつわ京都やまほん」を開廊。

 

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山田遊 (やまだゆう)さん

バイヤー、クリエイティブ・ディレクター。株式会社メソッド代表取締役。「別冊Discover Japan 暮らしの専門店」が、エイ出版社より発売。「工場の祭典」では、全体の監修を手がけた。

 

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 鞍田崇 (くらたたかし)さん

哲学者、明治大学准教授。編著として『〈民藝〉のレッスン』(フィルムアート社)、共著として『「生活工芸」の時代』など。

 

生活工芸と「工場の祭典」

山本忠臣 × 山田遊 × 鞍田崇

日 時/2015年2月28日(土) 15時30分~17時30分
場 所/ツバメコーヒー
料 金/2,000円(1ドリンク+お菓子付き)
定 員/30名(要申し込み)

◎問合せ・申し込み
ツバメコーヒー
電話/ 070-5371-3514 email/ tsubamecoffee@gmail.com
新潟県燕市吉田2760-1

 

以下、鞍田さんから寄せられたイベント趣旨を転載します。

「20世紀という重く大きな時代が終わり、新しい世紀が訪れた、ちょうどその頃に始まる話です。この10数年を、僕たちは「生活工芸の時代」と呼んでみることにしました。そう呼んでみることで、いま自分たちが生きている時代をすこし突きはなし、俯瞰してみようと思いました。

たまたまそうだったのか。なにか必然的なことがあったのか。まだ近すぎてよくわからないことがたくさんあります。たくさんあるけれども、こうして言葉にとどめることで、自分たちが経験しているものの輪郭をたどり、それを次の時代につなげていくこと。それが『「生活工芸」の時代』という本のねらいです。

できあがったのは、答えではなく、問いかけの本でした。ここからまた議論がはじまる、そういう本。その議論を本の中だけに留めるのではなく、より多くの方々と直接共有する場を持ちたいと考え、刊行後、ゆかりの地域を中心に、各地でトークを開催することとしました。

このたびの燕三条編は、ギャラリストの山本忠臣さんとバイヤーの山田遊さん、そして哲学者の鞍田崇の三人が話し手をつとめます。

山本さんが主宰するgallery yamahon(三重)では、工芸とアートという既製のジャンルにとらわれることなく企画展が行われています。セレクトの基準は、山本さん自身のまなざしに響いた人と物。その共鳴を、展覧会のコンセプトから展示什器まで、隅々までこだわりぬくことでカタチとしています。ギャラリーの開廊は2000年。以来、まさに生活工芸を牽引する一翼を担ってこられました。書籍『「生活工芸」の時代』にも当初より関わり、一文を寄せられています。

一方、山田さんは、本書ではなく、燕三条とのつながりから、このたびのトークにご登壇いただくことになりました。代表を務めるmethodでは、ブランドやショップの立ち上げに取り組まれるとともに、自治体と協力して地域イベントの監修も手がけられています。その代表例である「燕三条 工場の祭典」は、ともすると閉鎖的な印象を抱かれかねない町工場の世界を親しみやすく体験できる企画として、好評を博しています。イベントの成功は、既存のイメージをくつがえす山田さんならではの視点と発想はもちろん、ものづくりへの深い共感があってのことと思われます。

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写真:マサコー山口木工(燕三条 工場の祭典にて 2014)

生活工芸は、燕三条で営まれている町工場的なものとは対極かもしれません。また、地域社会との関わりを考える上でも二つは対照的です。『「生活工芸」の時代』は「瀬戸内生活工芸祭2014」のオフィシャルブック。生活工芸がひろく浸透するにあたって大きな役割を果たしてきたのは、瀬戸内生活工芸祭でも試みられている「クラフトフェア」でした。ですが、「工場の祭典」のねらいは、クラフトフェア的な方向とは微妙に異なる気がします。
生活工芸と工場の祭典。地域と生活に関わるふたつの視点を手がかりに、いま求められている社会と暮らしのあり方を紡ぎだしてみたいというのが、今回のトークのいちばんのねらいです。
会場は燕のツバメコーヒーさん。田んぼのなかにポツンとたたずむ喫茶店です。古びてもそれが味わいとなって価値を深めるものを提案したいというオーナーの田中辰幸さんには、『「生活工芸」の時代』刊行直後より関心を寄せていただき、今回の企画となりました。ひとりでも多くの方とお話しする機会になればうれしいです」(文・鞍田崇)