珍鳥ケリ?見知らぬ野鳥の立て看板の謎に迫ってみた
新潟市秋葉区市之瀬地区、新津バイパスから一本入った田園地帯を通る道路で謎の立て看板を発見しました。
真っ直ぐ行くと荻川。この左手に
謎の看板が
ありました。
発見 市之瀬の田んぼにしかいません。な、なんですって!
市之瀬地区は新津西スマートインターチェンジ、駅で言うと荻川駅が最寄り。
珍鳥 ケリ 生息地!
看板にはこうあります。
「珍鳥ケリ生殖地 市之瀬環境保全協議会」
ケリ…初めて聞いたその名。
謎の鳥に迫るべくさっそく調べてみましたよ。
まずはネットで情報収集だ
ネットで調べたところによると
- 鳩くらいの大きさ
- 西日本に行くとわりとありふれた野鳥のようである
- 東日本の分布は局所的。
- 季節により移動する。
- ケリという名前は「キリッ、キリッ」、「ケリッ」、「ケケッ」という甲高い鳴き声から
- 水田、畑、河原、干潟、草原などに生息する
- だいたい動物食で昆虫類、ミミズ、カエルなどを捕食する。
- わりと気性が荒い
見た目には足の長い鳩って感じでしょうか。明るめのグレーの羽色は地味です。風景に溶け込みやすいとも言えます。
もっと知りたい、ケリのこと
GATAポストはさらに突っ込んだ情報を得るため、新潟県野鳥愛護会にコンタクトを取りました!
今回お話を伺ったのは新潟県野鳥愛護会 副会長 山田清さん
――そんなにケリは珍しいのでしょうか
「看板はちょっと大げさかもしれない(笑)。ただ継続的に繁殖が確認されているのが市之瀬地区なんですね。県内ではほかにも何ヶ所かで繁殖は確認されています。高田平野、福島潟、鳥屋野潟…。ただ継続的に観察されない…去年はしたけど今年はしなかったという感じで。通常ケリは3月ころやってきて繁殖活動、育雛、そして11月ころには姿を消してしまいます」
脚が長くてスマートなケリ。眼が赤い。 (以下の写真はすべて撮影山田さん)
脚の長さが強調されるような立ち方をするケリ
伸びをするケリ
立て看板に使われた写真 擬傷行動を取るケリ。羽の内側の白さが目立ちます。
――ケリは気性が荒いと聞きましたが
「巣に近づくものがあるとさかんに鳴き、警戒します。またこの写真のように羽を広げて、怪我をしているかのような動作(擬傷行動)をして捕食者の注意を引き、卵や雛を守ろうとします。これはわずか2~3mのところまでケリの方から近づいてきたところを撮影しました。普段は警戒心が強くなかなか近づけないんです。」
――真っ赤な目で近づいてきたんですね。血眼ですね。迫力あります。
ちなみにケリの雛は生まれてしばらくすると、親と一緒に行動して自ら餌を取るようになります。雛の世話は両親そろって行うとか。
――ケリの地面の上で営巣するんですよね。
「3月からがケリの子育てシーズンです。水を貼る前の田んぼの上や畦の上に窪みをつけ枯れ草を敷いただけの簡素な巣をつくります。田んぼの上の巣は水を張ってしまうと水没してしまいます。しかし最近、立て看板のお陰で農家さんの理解が深まったのか、巣を田から畦に移してくれたり、またトラクターによる畦塗りを巣を避けて行ったりなどあるようです。」
――付近の農家さんの暖かさが沁みるエピソードですね。今回はお忙しいところありがとうございました。
稲刈りが終わった田んぼはケリを観察するのにいい季節かもしれません。GATAポストもケリに温かい眼差しを向けていきますね!
ふさふさしてかわいいケリの雛 しっかりとした脚してます
ケリの雛 よくみると雛の眼は黒いんですね
今日もこの風景の中にケリが…。
(伊藤)