臭い食べ物に人だかり これ食べるん?
強烈に臭い食べ物の缶詰を開封するという珍妙なイベントがあると聞き、行ってきました。
5月31日(日)、会場の新潟市アグリパークを訪れたら、この人だかり。
お目当ては、「世界一臭い食べ物」とも言われるシュールストレミング。
主にスウェーデンで生産・消費される、塩漬けのニシンの缶詰で、缶に詰める際に滅菌せず、缶の中で発酵を進めているという、放置状態の食べ物です。
缶の中で発酵がずんずん進んでいるので、その臭気たるや・・・。
その前に、そもそも何のイベントかというと、これです。
※6月21日(日)まで
というイベントと、アグリパークのコラボ企画なのでした。
「もやしもん」とは、菌の姿が見える農大生の日々を描いたマンガで、シュールストレミングはその中に登場する食品というワケです。
日本酒や味噌、漬け物など、馴染み深い和食の世界だけでなく、広く菌や発酵食品の世界を知るのに、変わった視点で面白そうです。
ではいよいよ、開封です。
爆発危険。
発酵により内部にガスがたまっているため、水中で缶切り入刀。
かぶりつきで撮影していた私の腕に、しぶきが数滴、付着しました。
臭い。
これは・・・ 昭和の匂いです。
子どもの頃、隣のおじさんが畑にせっせと肥やしを運んでいました。
学生時代に農村で測量のアルバイトしていて、土の上を歩いたつもりが肥溜めにドボリとはまって・・・・。
そんな、思い出の昭和の匂いです。
菌=有用微生物の頼もしい働きは、以前にもお伝えしました。
しかしこの匂い、もはや発酵なのか腐敗なのか分かりません。
一般に、人体に不利益であれば「腐敗」とされているので、これは発酵の範疇なのでしょうか。しかし調べてみると、この中には「腐敗」を定義する硫化水素が含まれており、それ故、強烈な匂いを発するとも。
ややこしい代物です。
ニシンを細かく刻みます。
これをパンに乗っけて、皆さん、試食です。
私は残念ながら、この後、別の取材が控えていたので。臭わすわけには参りません、自粛です。
代わりに、食べた皆さんの感想を探りました。
どう?
「臭いけど、味はまずくはないです。まずくはないけど、うまくもないです」
お代わりする?
「いや・・・・」
お味は?
「すごい、しょっぱい」
「想像よりは、食べられました」
極寒の地で発明された保存食、冬のタンパク源としてかの地では貴重な食品であったシュールストレミング。
皆さん、一生に一度の(多分)貴重な体験をされた様子でした。
糸魚川には塩の道があるので、次は塩の道イベントとコラボしたら面白そうです。
(GATAポスト編集部・早見正明)